室戸と鯨の歴史History
日本人にとってクジラは古来より富をもたらす存在でした。
その身は食用のみならず油やヒゲ、骨にいたるまで余すことなく活用され、
「鯨一頭捕れれば7つの町が潤う」と言われるほど。
こうして人々は、
クジラへの畏敬と感謝の念をもって日本独自の鯨文化を育んできたのです。
室戸は日本列島を北へ南へと回遊するクジラの通り道だったことから、
日本有数の捕鯨の町として知られてきました。
この地で捕鯨が本格化したのは江戸時代初期のこと。
依頼、商業捕鯨が禁止される近代まで
約300年にわたってクジラとともに歩んできました。
室戸の捕鯨は和歌山県・太地町から伝わった
「網捕り式捕鯨」と呼ばれる漁法で大きく発展しました。
勢子船、網舟などそれぞれに役割をもった
20隻ほどの舟でクジラを網に追い込むという、時に危険を伴うものでした。
勇壮な捕鯨の様子は、古式捕鯨絵図として残されています。